労働時間が長いのは自由を縛る鎖の太さ

 金子光晴 1975年6月30日80歳死亡 「人間の悲劇」は第二次大戦敗戦直後の三年間の作品集
 金子光晴 1975年6月30日80歳死亡 「人間の悲劇」は第二次大戦敗戦直後の三年間の作品集

2015/6/2

逆らわず、抵抗せず、主人の指示命令に服従す 

 

 光和精鉱株式会社では、日本生産性本部の労務コンサルタント使い、WEB社員意識アンケート調査で開始された。所属、職位、年齢、勤続、性別の個人属性入力させて、回答者が特定されず匿名性が保たれているとは思わない。

  アンケート質問の一つに「当社は社員が過剰な労働時間にならないように管理している」と思うかとある。「当社は社員が残業を前提にして仕事が組み立ている」と思うかの質問に変えてみると面白い。

 労働時間が短くなり、自由時間が増えることは、人間にとって豊な成長が保証されます。労働が喜びとなり、誇りを持てる良い企業にするために、なにをどうするのかは、古くて新しい課題です。

 逆らわず、抵抗せず、主人の指示命令に服従することを第一とし、尋ねられたら、顔色伺いながら自分意見を述べ、主体的行動を否定しする「奴隷根性」では良くならない。不平不満をアンケートで訴えたら良い会社に自動的になるわけではありません。

  詩人の金子光晴さんは「奴隷の自由とは鎖の長さに過ぎない」と書いている。労働時間が長いのは、自由を縛る鎖の太さと短さなのです。

  

 日本の課長と一般社員 第3回職場コミニケーションに関する意識調査 

  2014.8 日本生産性本部

金子光晴

『人間の悲劇』

答辞に代えて奴隷根性の唄

奴隷といふものには、
ちょいと気のしれない心理がある。
じぶんはたえず空腹でゐて
主人の豪華な献立のじまんをする。

 奴隷たちの子孫は代々
背骨がまがってうまれてくる。
やつらはいふ。
『四足で生れてもしかたがなかった』と

といふのもやつらの祖先と神さまとの
約束ごとと信じこんでるからだ。
主人は、神さまの後裔で
奴隷は、狩犬の子や孫なのだ。

 

だから鎖でつながれても
靴で蹴られても当然なのだ。
口笛をきけば、ころころし
鞭の風には、目をつむって待つ。

どんな性悪でも、飲んべでも
蔭口たたくわるものでも
はらの底では、主人がこはい。
土下座した根性は立ちあがれぬ。

くさった根につく
白い蛆。
倒れるばかりの
大木のしたで。

 いまや森のなかを雷鳴が走り
いなづまが沼地をあかるくするとき
『鎖を切るんだ。
自由になるんだ』と叫んでも、

やつらは、浮かない顔でためらって
『御主人のそばをはなれて
あすからどうして生きてゆくべ。
第一、申訳のねえこんだ』といふ。