電通 カローシ(過労死自殺)

電通 高橋まつりさん飛び降り自殺前のツイッター
電通 高橋まつりさん飛び降り自殺前のツイッター

2016/10/21 23:34

時間外労働36協定以内に寸止めして過少申告

実労働時間の把握は使用者の義務

 

 通の高橋まつりさんが2015/12/25寮から飛び降り自殺し過労死として労災認定された東大卒24歳のツッターで過酷な長時間労働の苦悶も残していたことがネットで拡散されています。電通は、3年前にも過労死労災死亡があったことが報道され。高橋さんで3人目のカローシです。労基法からの是正勧告受けても、実効性のある労働時間管理をおこなわず、時間外労働の自己申告が36協定超えように寸止めとし、過小申告を指示していた。徹夜、休日出勤の長時間労働が続くと、誰もがうつ病になるわけではないが、睡眠時間が少ないと精神おかしくなるのは科学的に検証されています。

 高橋さんが自殺する2か月前の時間外手当は10月69.9時間、11月60.5時間で寸止めていた。弁護士は事務所の出退勤記録などから実労働は毎月1000時間を超えていたこと監督署へ訴えて労災認定につながった。電通は会社ぐるみで時間外労働を36協定の70時間以内とし、休日出勤は36協定の規定時間と別枠なので、休日出勤が頻繁におこなわれていたか不明です。時間外の過少申告を指示していたとすれば、その組織は罪が深い。

 電通が労基から是正勧告受けて、ノー残デーなども設ける外見だけのポーズを取り繕っても、現場では時間外の過少申告するのが当たり前の企業文化は刷新されていないことが、今回の不幸な自殺となって現れています。

 労働基準局過重労働撲滅特別対策班(かとく)は高橋さん以外の他の社員にも及んでいないか電通に調査を求め、過去2年間過小申告の時間外賃金支払を指導するでしょう。役員の更迭などをして送検回避されても罰則は「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」(労基法32条)にすぎない。しかし社会的信頼は失墜するダメージが大きい。

 労働時間管理強化と時間外削減施策をおこなうのは当然として、生贄的に担当役員の更迭、社内処分などおこない送検回避せんとするでしょう。「かとく」が捜査に入ったので送検は免れないと思うのです。

 

 働時間をごまかして36協定違反や過重労働安全配慮義務違反を逃れようとするのは、多くの企業でおこなわれています。会社は過少申告を指示はしないが、「下命によらない残業は認めない」「事前申告のない残業は認めない」「36協定内の時間外労働に自分でコントロールせよ」とか「なんであなただけ時間外が多いのか」と言うのです。企業は出退勤時刻と労働時間の把握し記録する義務があり、自己申告の残業と実記録時間に大きな差異ある場合は、その理由を記録して賃金不払い違反とならないようにするのです。

 富士通では、不払賃金是正勧告を受けて、実労働と在社労働の時間との大きな差異があると、その理由を自己申告させて、不払労働賃金違反とならないように防衛しています。自己啓発、自己研鑚の自習、同僚との私的な会話などの理由を本人に現認させ記録として残しているのです。本当に業務に関係ないのか立証するはむずかしい。だから仕事終ったら、ただちに退社することを命じないといけないのです。

 

 和精鉱株式会社では、36協定(50h)超えないように毎月の時間外が49.75時間とする記録が散見しています。さすが、36時間を超えたら翌月回しすることを上司が容認する例は今はないと信じます。代休の強要めいたことおこらないよう相互監視しないと、ズルイ上司が現れます。36協定時間を超えたら、特別延長する手続きをすれば労基法違反にはならない。

 ほんの一部の上司が時間外の過少申告を指示または示唆することは、会社全体が杜撰な労働時間管理をおこなっていると見做されます。会社は、コンプアイランス重視が経営方針ですから、労働時間の過少申告を指示した労働時間管理者は懲戒処分の対象になります。新日鐵住金では、部下の時間外をカットした上司が懲戒処分を受けた例があります。

 結局、毎日、早出残業が恒常的に続いている常態が問題なのです。

 電通の長時間労働改善施策は、長時間の時間外を36協定で労働組合が拒否すればよいのです。いかんせん労働組合が企業間競争のため法律の上限時間を認めざるを得ないのです。法律で青天井の残業規制をし、同一ルールのなかで企業間競争をしないと、カローシは減らない。

 

過去関連ブログ

2016年07月03日 - 青天井をなくす時間外労働規制法案

2016年06月10日 - 36協定年間超え、代休日数減措置

2016年06月01日 - 水曜日はノー残業デー