タイムカード打刻せず仕事させる。「いなげや」また過労死

いなげや志木店
いなげや志木店

2017/4/18 06:32

労働時間の把握義務は使用者にあり。

タイムカード打刻させず仕事させて証拠誤魔化す。

 

 スーパーマーケットは非正規のパート勤務が多く、正規社員は仕入れや特売準備で責任が重い。北九州市には店舗ないが、スパーいなげや埼玉県志木店で2014年5月、食品チーフ社員42歳が死亡した事案が過労死認定された。

 ワタミ、ドンキホーテ、電通、関西電力、クロネコヤマトなどに共通しているのは、労働時間を適正に記録していないことです。時間外賃金を自己申告でにより支払うのではなく、使用者に労働時間把握義務があるとして厚労省通達が出て以降、サービス労働違反として摘発されることが増えています。

 この過労死は長時間労働させたら発生するとして既知されていますから、予見不可能とし安全配慮義務違反は免責されないでしょう。損害賠償1億円もらっても死んだ人は生き返りません。以下NEWS転載。

 

「いなげや」で再び過労死…タイムカードを正確に打刻させず、サービス残業常態化

弁護士ドットコムニュース 2017年04月17日 16時16分 

  会見を開いた嶋﨑量弁護士(左)ら 首都圏を中心とした大手スーパー「いなげや」で3年前に男性社員(当時42歳)が過労死していたことが4月17日、わかった。遺族の代理人弁護士が厚労省記者クラブで会見を開き、明らかにした。

 同社では2003年にも別店舗の従業員が過労自死しており、労務管理が問われそうだ。弁護士らによると、この男性は埼玉県内の店舗で一般食品部門のチーフ(非管理職)として勤務。2014年5月下旬、勤務中に体調を崩し、約1週間入院。復帰直後の6月5日、勤務後、駐車場で倒れているところが見つかり、6月21日に亡くなった。脳梗塞(血栓症)だった。

 男性の残業は記録上、毎月30時間程度。しかし、さいたま労基基準監督署などの調査でサービス残業の常態化が明らかになった。さいたま労基署は2016年6月、少なくとも毎月80時間ほどの残業があったことや、不規則なシフト制などが影響したとして、過労死として労災認定した。

 過労死ラインに達しなかったにも関わらず、認定された理由労基署が認定した残業時間は、最大で月96時間ほど。発症前1〜6カ月平均は最大で75時間53分で、過労死ライン(単月100時間、複数月平均80時間)には達していない。それでもなぜ、過労死と認定されたのか。

 その理由は、いなげやのずさんな勤務時間管理にあったようだ。弁護士によると、この事業所ではタイムカードを正確に打刻させず、早出勤務や終業後の作業をさせていたという。労基署はこれらの実態から、認定した月平均75時間以外にも労働時間があったとして、労災と認めた。

 遺族側代理人の嶋﨑量弁護士は、「労働時間管理は、工事現場でヘルメットを被るくらい当たり前のことだ」として、いなげやの労務管理を批判。「労働時間管理がきちんとなされなくては、罰則付きの残業規制が導入されても、サービス残業がただ増えてしまうだけだ」と、政府の「働き方改革」の実行計画案も踏まえて批判した。

 遺族は今後、会社との交渉を通じて、1億5000万円の損害賠償や再発防止策などを求める。会社の対応次第では提訴も検討するという。遺族は代理人を通じて、次のようなコメントを寄せた。

「『いなげやさん』長時間労働を命令したのは誰ですか? まさか死ぬとは思わなかったのですか? またかけがえのない命が奪われないよう過労死は私たちの家族が最後であってほしい」

【午後5時40分追記】

 いなげや広報は、「遺族からの通知が届いていないので、通知を見てから対応を考えたい。労働環境についてはここ数年、改善を進めているところで、(男性が亡くなった)3年前とは違う」と回答した。